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ポケット・ストーリー

『約束の夏、まほろばの夢』 共通ルート 13-2

第十三話『いざ川遊び!』 (2)




    そして、河原に到着――

    自宅から歩いてこられる距離だけど、水も綺麗だし流れも緩やかだし、広さもあって川遊びには持ってこいの場所だ。


祭   「おー、おっす、トガーとその仲間たち!」


泉実  「おっ、やっぱり一ノ瀬さんと風見さんも来たんだね」


    と、祭と泉実は到着してたみたいだ。

    泉実はともかく、祭はえらい遠くから来てるのになあ。


祭   「さっそくだが、十河涼太。君にミッションを与える」


涼太  「誰だおまえは!?」


    そして、何様なんだ?


祭   「実はバーベキューもやる予定なんだけど」


    切り替え早いな!


涼太  「まあ、知ってるよ」


    歩さんが材料を揃えて、俺が荷物持ちをしたんだから。


泉実  「バーベキューの材料は蒼森先輩にお願いしたんだけど、炭とか商店街で注文しておいたものがあるんだよ」




祭   「それを受け取るのをスコーンと忘れてたんで、ちょっと取ってきてもらいたいんだよ」


涼太  「スコーン、とね……」


祭   「私はいろいろ準備があるから、トガーに任す!」


涼太  「なんの準備だ、なんの」


    いいんだけど、ここに来るのを待って言うなよ。

    商店街って家からのほうが近いんだから。


涼太  「じゃあ、渚沙。おまえ、付き合って――」


渚沙  「…………なにか、言った?」


涼太  「いや、なんでもない」


    ここに来るだけで、既に渚沙のHPは1ケタだったか。


涼太  「んーと……」


陽鞠  「わー、この川は久しぶりです。いつも、山の中の小川ばっか見てたから、大きい川が新鮮ですね」


    陽鞠は迂闊に歩さんのそばから離したら山に逃げかねないし。


星里奈 「ん? なんなら、私が手伝うか? 私の力なら、荷物どころか荷物を持った涼太ごと担げるぞ」


涼太  「い、いや、それは遠慮しとく」


    今日のお嬢様っぽい星里奈を荷物持ちにするのもなあ。

    泉実は見た目どおりでパワーに欠けるし。

    となると……まあ、一人でいいか。


涼太  「んじゃ、さっさと行ってくるか……」


歩   「頑張ってくださいね、涼太さん。あ、出かけたついでに女の子をお持ち帰りしたりとかはダメですよ?」


涼太  「どんだけ手際いいんすか、俺は!」


    ただお使いに行くだけで、ついでに女の子を引っかけるとかありえないでしょう……。

    これ以上いろいろ言われる前に、とりあえず行ってきてしまおう。







ホタル 「それで、都会では女性専用車両というものがあるそうですが……」


りんか 「う、うん、あるけど……」


ホタル 「痴漢の標的になりやすそうなエロボディの神宮さんは、やっぱりそちらに乗りますか……?」


りんか 「エロボディって! 人に言われると微妙だよ!」


りんか 「というか、なんなのその質問!?」


ホタル 「……むしろ、そのエロボディで痴漢を誘う的な?」


りんか 「どんなビッチだよ! ていうか、またビッチ扱い!」


    ……そういえば、星里奈もビッチ扱いしてたな。


ホタル 「こっちの電車には、そんな特殊な車両は存在しません……だからどう利用してるのか取材したいのです……」


りんか 「べ、別に普通だよ。乗ったり、乗らなかったり……」


ホタル 「男の人に乗るんですか? 電車の中で、それは大胆な……」


りんか 「わかってて誤解してるよね! ホタルちゃん、わたしもそろそろ怒るよ!」


ホタル 「怒られるのは十河先輩で慣れてます……おかげで、人の怒りを右から左へ聞き流すスキルを極め尽くしました……」


涼太  「聞き流してたのか!」


りんか 「と、十河君!?」


ホタル 「じゃあ、次はピザ屋さんのお話で……本当に30分以内に配達されるんですか……?」




ホタル 「嵐野先輩のお家なんて、回覧板を隣の家に届けるのも30分かかるレベルなので、信じがたいです……」


涼太  「無視するなっつの! ていうかホタル、なにしてるんだおまえは!」


    黙って見てれば、いつまでもボケとツッコミを続けやがって。


りんか 「助かった! 十河君、このわたしを守るとかっこいいよ!」


涼太  「おまえもたいがい偉そうだな……」


    一瞬神宮のほうがまともに見えたけど、やっぱりどっちもまともからは遠かったか。


ホタル 「おもしろネタを探し歩くのは新聞部員の役目ですが、今日はいいカモを見つけました……カモカモ」


りんか 「その語尾に意味はあるの!?」


涼太  「あるわけないだろ……まともに相手すると、ゲージをがりがり削られるぞ」


りんか 「ねえ、十河君。なんなの、この町は。珍獣の名産地なの? まともじゃ生きられないの?」


    ……否定はし切れない。

    いや、ほら、俺はまだ全然まともだけどな?


涼太  「しかし……またホタルに絡まれてたのか」


涼太  「そっか。俺が相手をしてやってくれ、みたいなことを言ったんだったか」


    結構律義なところがあるんだな。


りんか 「うんうん、そうそう」


りんか 「いきなり逃げるなんて失礼だしね」


涼太  「おまえ、俺から何度か逃げてる気がするが」


涼太  「というか神宮、まだこの町にいたんだな」




りんか 「ひどいっ!?」


りんか 「ホタルちゃんに言われたどんなことより、今の一言が傷ついたよ! いちゃダメなの!?」


涼太  「いや、悪い。そういう意味じゃなくてだな」


涼太  「考えてみりゃ、神宮がこの町に来て何日も経つしなあと思って」


    観光にしてもちょっと長いよな。……いや、観光っていうのは嘘なんだっけか。


りんか 「わたしは夏休み他に予定はないから、なにも問題はないんだよ!」


涼太  「悲しいことを大声で言うなよ……」


    前から思ってたけど、神宮って……。


ホタル 「ところで、私の正確無比の情報網が掴んだネタなんですが、最近この町では怪しげな少女がウロウロしてるとか……」


ホタル 「大規模な窃盗団の偵察なんじゃないかという噂も……」


りんか 「そんなあらぬ疑いを!?」


りんか 「くうっ、ホタルちゃんの家の玄関に、なんだかそれらしいマークを書き込んでやるーっ!」


涼太  「そういや、空き巣って入りやすそうな家の玄関にマーキングしたりするんだよな……」


ホタル 「やってもいいですが、田舎ですから……各ご家庭が相互に見張り合ってるようなもので、悪さをするとすぐバレますよ……」


りんか 「なんというアナログなネットワーク……いや、そんなことしないけど」


りんか 「……あれ? そういえば、十河君はなにしてるの?」


涼太  「今さらそれを訊くのか」


    その疑問にたどり着くまで、えらく長かったな。

    とりあえず、川遊びとお使いの件を説明する。


りんか 「へー、川遊び。今日も暑いし、楽しそうだね」


涼太  「ああ、なんなら神宮も来るか?」


りんか 「ええっ!? いいの!?」




りんか 「ホントにほんとに!? やっぱりナシだよ~とか、社交辞令を本気にしやがった~とかじゃなくて!?」


涼太  「そんなに性格歪んでないっての。どうせ、いっぱい集まってるしな。一人や二人増えても」


    というか、ずいぶん目を輝かせてるなあ。

    こんなに喜んでもらえると、こっちとしても嬉しい。


りんか 「じゃあ、ホタルちゃんも一緒においで。二人増えてもいいって」


ホタル 「え……あんなに困らせた私を誘ってくれるんですか……?」


りんか 「仲間はずれになんてしないよ。いいでしょ、十河君?」


涼太  「ああ、もちろん。というか、ホタルは普通に来ると思ってた」


ホタル 「むしろ、困らせることを楽しんでたような私を……?」


りんか 「楽しんでたの!?」


りんか 「い、いえ……ホタルちゃんは本当はいい子、本当はいい子……」


    なんか、自分に言い聞かせてるぞ。

    いや、うん。本当に悪い奴ではないぞ。……性格や趣味はちょっとアレだけど。


涼太  「まあ、参加するなら二人には荷物持ちを手伝ってもらうけどな」


    ちょうどいい人手を探してたところだから、俺にとっても好都合だ。


りんか 「……十河君、ちゃっかりしてるね」


ホタル 「十河先輩は、だいたいこんな感じです……」


    なんとでも言うがいいさ。

    せっかく発見した労働力なんだから、有効に使わせてもらおう。

    (to be continued…)