special

ポケット・ストーリー

『約束の夏、まほろばの夢』 渚沙ルート 10-2

第十話『好きで、好きで、好きだから…』 (2)




渚沙  「やっぱここは涼しくて過ごしやすいわねぇ」


涼太  「そ、そうだな……」


    告白するなら、やっぱり雰囲気のいい夕方とかがいいのか……?

    い、いや……自分でも早く伝えるべきだって考えてたじゃないか。

    ちょっとでもチャンスがあったら、迷わず行こう。

    よ、よし……。


渚沙  「夏真っ盛りなのに誰もいないし、やっぱり穴場ね~」


    渚沙の水着姿が目に眩しい。

    ……こんなに可愛い女の子のことを、つい最近まで意識していなかったなんて、嘘みたいだ。


渚沙  「ん? なによリョータ、ジロジロ見たりして」


涼太  「べ、別にジロジロなんて見てないぞ?」


渚沙  「ウソ。見てたでしょ、今」


渚沙  「あ、わかった。あたしの水着姿に見惚れてたんでしょ?」


涼太  「見惚れてたっていうか……」


涼太  「……まあ、その通りなんだけど」


渚沙  「へ!?」


渚沙  「そ、その通りって、な、なにが?」


涼太  「だから、見惚れてたんだ。渚沙の水着姿に」


渚沙  「バ、バカ……」


    渚沙は急にモジモジして恥ずかしそうにし始める。

    表情と仕草のせいで色気が5割増しくらいになって、大変なことになっていた。


渚沙  「こ、この間だって見たばっかりだし、だいたいあたしの水着なんて飽きるほど見てるでしょ……?」


涼太  「過去の俺は、ちゃんと渚沙のこと見れてなかったんだなって、ちょっと反省してた」


涼太  「凄く可愛いぞ。水着も似合ってる」




渚沙  「――――っ」


    渚沙の顔が、一瞬でトマトみたいに真っ赤になった。


渚沙  「バカッ! バカッ!! もう! 本当になんなの!?」


渚沙  「もう本当にバカなんじゃない!? 頭どうかしちゃってるわよ!?」


渚沙  「もう! 本当に! ……バカなんだから。バーカ……」


涼太  「うん、まあ、ほら。俺……バカだからさ」


渚沙  「……ごめん。違うの、本当はそんなことが言いたかったんじゃないの」


涼太  「大丈夫、わかってる。そもそも、間違えようがないから」


    ポロっと漏れた言葉に彼女がこれだけ喜んでくれるなら、彼氏としては本望としか言いようがない。


渚沙  「……うぅ。なんで今日はそんなに優しいのよ」


涼太  「え」


    普通にしていたつもりだったのだが、なにか不自然だっただろうか?


渚沙  「あ、わかった。なにか企んでいるのね……?」


涼太  「……え゛」


    まさか、俺が告白しようとしているのがバレた!?

    いや、そんなはずはない。はずだ……。きっと。たぶん……。


渚沙  「なるほど~。つまり、下心があったってことね~」


涼太  「し、下心……?」


    告白は……告白は下心に入りますか!?

渚沙  『そ、その……』


渚沙  『あ、あたしのカラダが忘れられなくなっちゃったんでしょ!?』


涼太  「ぶっ!?」


    しかし、渚沙の推察は完全に明後日の方向にぶっ飛んでいた。

    というか、なにとんでもない勘違いしてんだこいつ!?


渚沙  「リョ、リョータったら本当にいやらしいんだから……」


渚沙  「あたしのことを喜ばせてその気にさせようなんて、そんな見え見えの手を使って……」


涼太  「いやいやいやいやいや……」


    マジでその気ではなかったんですが、なんだか妙な方向へ話が進んでしまっているぞ?


渚沙  『そ、そんなまわりくどいことしなくたって、リョータがしたいって言えば、いつでもしてあげるのに……』


涼太  「え……」


    本当に、妙な方向に話が転がって、完全に帰ってこれなくなってしまっていた。


涼太  「いや、あの、渚沙さん……?」


    思わず敬語になる。



渚沙  「な、なによ……」


    頬が上気した渚沙の表情。

    もしかすると、ちょっとエッチな気分になっているのかもしれない。


涼太  「い、いや、その……」


    好きな子のそんな表情を見せられて、俺の下半身も急激にうずき始めてしまう。


渚沙  『リョータがどうしても、って言うなら……』


渚沙  『い、いいよ?』


涼太  「うっ……」


    い、いやっ、待てっ。昨日の話を盗み聞きしておいて、それを謝りもせずに渚沙とそういうことをするのは、ちょっと違くないか?


涼太  「そのっ、だな……渚沙とは、その、そういうこと、もっとしたい気持ちはあるんだけど……」


渚沙  「ほ、ほんと……!?」


    想像以上に嬉しそうな顔をする渚沙。

    うぅ……めっちゃ可愛い……。


涼太  「た、ただ……そういうこと、する前に、ちょっと真面目な話をしておきたいんだよ、俺」


渚沙  「真面目な話……?」




    瞳を潤ませながら、渚沙は小首を傾げる。


渚沙  『そ、それってさ……』


渚沙  『今、あたしと身体をくっつけることより、大事なこと……なの?』


    渚沙はそんなことをささやきながら、ぴったりと熱くなった身体をすり寄せてきた。


涼太  「うぅ……そ、それは……」


    この誘惑には抗いがたい……が、やはり、もしそういうことをするなら、話をしてからの方がいいに決まってる。


涼太  「いや、やっぱり渚沙……」


    渚沙の誘惑を振り切って、決意の声を上げる。しかし……。


渚沙  『わ、わかった……。だったら、その……終わったら、真面目な話、聞くから……』


涼太  「え……?」


渚沙  『もう……言わせないでよ、バカ……。あ、あたしの方が、たまらなくなっちゃってるのっ』


渚沙  『リョータ、お願い……して?』


    渚沙の媚びるような視線と声で、頭の奥の方にあったなにかの線が、プチンと切れた。


涼太  「……渚沙」


渚沙  「う、うん」


涼太  「俺も、どうしてもしたい。……渚沙がほしい」




渚沙  「あ。……うん。い、いいよ」


    俺と渚沙は手を繋いで、フラフラと川の中へと進んでいった。

    二人揃って、これ以上我慢できないほどに発情していたのだ。

    (to be continued…)