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ポケット・ストーリー

『約束の夏、まほろばの夢』 渚沙ルート 12-4

第十二話『自信がないの、でも負けたくないの』 (4)




    翌日。

    家の廊下を歩いていると、強引に渚沙に部屋へ連れ込まれた。


渚沙  「ほら、入って入って」


涼太  「な、なんだよ……」


渚沙  「居間でもリョータの部屋でも、落ち着かないじゃない? でもここなら二人きりになれるでしょ」


涼太  「ま、まあな……」


    どういう風の吹き回しだろうか。

    最近は渚沙の方が二人きりになるのを避けているように感じていたのだが……。


りんか 「リョー君? リョー君、どこー?」


渚沙  「リョータ、ちょっと息止めてて!」


涼太  「え? お、おう……」


    言われるまま、反射的に息を止める。


りんか 「リョー君~?」


渚沙  「………」


涼太  「………」


りんか 「まさか、なぎとデートにでも行ったんじゃ?」


    りんかの気配が遠ざかって行く。外に探しに行ったのかもしれない。

    その気配を感じ、渚沙がふっと緊張を解いた。



渚沙  「……ふぅ、もう大丈夫ね」


涼太  「なにも、こんなコソコソしなくても」


渚沙  「だって、こうでもしなきゃゆっくり二人きりにもなれないんだもの」


渚沙  「でも……やっと二人きりになれたわね」


涼太  「そ、そうだな……」


    その気になればすぐにキスもできそうなほどの至近距離。

    息を殺している間、二人でくっついて小さくなっていたから、身体は密着したままだった。

    しばらくドタバタが続いてたから、急にこんな色っぽい雰囲気になるとドキドキしてしまう。


渚沙  「あの、さ。リョータ」


涼太  「? どうした?」


渚沙  「また“こころえのぐ”かけてほしいの、あたしに」


涼太  「ま、またか……」


    渚沙にとっての、勇気の魔法。

    もともと、俺から言いだした使い方ではあるんだが……


涼太  「いや、止めようぜ。絶対クセになったらよくないぞ、これ」


渚沙  「最後! 今回で最後にするから!」


涼太  「うぅ~ん……」


    そこまで必死にお願いされると思っていなくて、困ってしまう。


渚沙  「お願い、もう1回だけ、あたしに力を貸して……?」


涼太  「……じゃあ、今回で本当に最後だぞ?」


渚沙  「うん!」


涼太  「渚沙を落ち着かせる“えのぐ”でいいんだよな?」


渚沙  「……お願いします」




    渚沙の胸元に人差し指を向けて、意識を集中させ指を振るった。


渚沙  「……あっ」


渚沙  「うん。ありがとう、リョータ」


渚沙  「やっぱりあたし、これ好きだな……」


    だからこそ、少し怖いと思ってしまうのだが……。


涼太  「ど、どういたしまして」


    とりあえず、素直にお礼は受け取っておくことにした。


渚沙  「……ところで、りんか、外行っちゃったわよね?」


涼太  「……気配がなくなったから、たぶん」


渚沙  「じゃあ、今家には誰もいないわね」


涼太  「そうなのか……? 他のみんなは?」


渚沙  「歩姉さんと陽鞠は買い物、星里奈は稽古。みんなしばらく帰らないと思うわ」


涼太  「そ、そうなんだ……」


    さっきまで忘れていたドキドキが、また大きくなる。渚沙の表情も、さらに色っぽくなった気がした。


渚沙  『ね……リョータ』


    渚沙が、“ひみつでんわ”でささやくように声をかけてきた。


渚沙  『あのさ……い、いいこと、してほしい?』


涼太  「え? いいこと……?」




渚沙  『あのね……女の子が、男の子の……を、口で気持ちよくしてあげるのが……あるでしょ?』


涼太  「そ、それって……」


    フェラチオのこと……だよな?


涼太  「な、渚沙が、してくれるのか?」


渚沙  「リョ、リョータがして、ほしいなら……」


涼太  「そ、そりゃ……」


    してくれるものならしてほしいに決まってる。

    だけど……。

    こんなに色々なことがこんがらがっている状況で、渚沙とエッチしてしまって本当にいいのだろうか?

    もっと、色んなことをちゃんとしてから、そのあと改めて渚沙を抱くべきなのでは?


渚沙  「なにか、難しいこと考えてる顔してる……」


涼太  「そ、そうか……?」


渚沙  『リョータのそんな顔もかっこいいけど、今は違う顔が見たいな……』


渚沙  『今は二人っきりなんだよ? 難しいこと考えるのは、あとにしようよ……』


    渚沙が蠱惑的にささやく。


渚沙  『あたしとエッチするの、嫌……?』


涼太  「そ、そんなわけないだろ……」


    渚沙の濡れた瞳を見つめていると、まるで吸い込まれてしまうんじゃないかという錯覚を覚えて、背筋が甘く震えた。


渚沙  「あ……もう、膨らんで来てる……」


    渚沙が俺の股間を見て、微笑んだ。



渚沙  『……あたしで興奮してくれたってことだよね? 嬉しい』


涼太  「う、嬉しいのか……」


    そんな渚沙のいじらしい言葉に、股間はますます固くなっていった。


渚沙  「じゃあ、してあげる……ね?」


涼太  「い、いや、やっぱりちょっと待て」


渚沙  「ううん。もう待ってあげない」


涼太  「うわっ!? お、おい!?」


    俺は渚沙のベッドに押し倒され、渚沙はそんな俺の股間に覆いかぶさってきた。

    (to be continued…)