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ポケット・ストーリー

『約束の夏、まほろばの夢』 渚沙ルート 16-4

第十六話『勇気の魔法』 (4)




    居間に戻ると、歩さんが心配そうに待っていた。


歩   「渚沙さんは大丈夫ですか?」


涼太  「問題ないよ。そのうち出てくると思うから」


歩   「そうですか。出て来たら、あったかいハーブティーでも淹れましょうね」


星里奈 「この町にもハーブティーなんてあったんだな」


歩   「ハーブなんてその辺に生えてますからね」


りんか 「野ハーブなんだ! 凄い!」


涼太  「……じゃあ、俺は部屋で待ってるから」


    渚沙はきっと“アレ”をしてくるはずだ。

    それなら俺は一人で待っていた方がいい。


りんか 「……うん。それがいいかもね。じゃあ、あとで」


涼太  「……なんか、ゴタゴタしちゃってゴメンな」


りんか 「あはは、それもわたしたちらしいんじゃない?」


涼太  「はは、そうだな」


    小さくりんかと笑い合い、俺は自分の部屋に戻った。







涼太  「まったく、渚沙の奴。ここまでヘタレだったとは」


    でも、昔からそういう奴だったと、しみじみ思い出す。

    小さい頃から、何度もこんなことを繰り返しているような気がする。

    それは、りんかとのことだけじゃなくて……。


涼太  「そうだ、渚沙が俺の大事にしてたプラモを壊したとき」


    あのときも、渚沙は自分の家のクローゼットにこもっていた。謝りたいのに謝る勇気が出なくて。


涼太  「あのときも確か、“ひみつでんわ”だったな」


    それを思い出していたとき……。




渚沙  『リョ、リョータ……聞こえる?』


    渚沙の声が頭の中に響いてきた。


涼太  『ああ、聞こえてるよ』


渚沙  『うん……』


涼太  『…………』


渚沙  『…………』


    渚沙はまだ決心しきれていないのか、なかなか喋り出さなかった。


涼太  『なあ、俺そっちの部屋、行っていいか?』


渚沙  『え……?』


涼太  『渚沙が“ひみつでんわ”の方が話しやすいっていうなら、それはいい。だけど、話をするなら、近くでしたいんだ』


渚沙  『べ、別に……いいけど……』


涼太  『ありがとう』


    俺はそう答えて、すぐに渚沙の部屋へと移動した。

    (to be continued…)