この想い届け―!

桜の年──10年に1度、いつもより長く桜の咲き続けるその年には、 春の祭、式年祭がいつもよりも盛大に開催される。 再び巡ってきた桜の年、様々な思いが、今を待ちわびたように開花する。

「2年ぶりに会えた兄さんの笑顔……。 うん、私の居場所は、やっぱりここなんだ」

「あたしは知っている……。 本当のあいつは、そんなんじゃない。 だから、今年こそはきっと、本当のあいつを……」

「私に……出来るのでしょうか。 ううん、やらねばならないのです。 再び、関係を取り戻さなくては……」

「準備は、十分に整っているはず。 もう……あのときのようなことは、 絶対に起こさせない……」

そして―― 「この街にやってくるの、 もう10年ぶりになるんだね。 もしかしたら、あの人に逢えるかな? 逢えたら、いいな……」

幾多の思いが、空を舞う桜の花びらのように交錯し、 それぞれの物語が…… 今、 動き出す──